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  • T.S(Ensemble”Eroica”)

第三回 演奏会曲目に関して

 今回はブラームス交響曲第一番小話から少し離れて、客観的事実から、今回のプログラムと作曲者、演奏曲に関する時代背景を説明します。年表をつけました。


 今回演奏する三曲とも、19世紀後半、僅か23年の期間にいずれも初演された曲となります。18世紀古典派最高峰のベートーヴェンの楽式構造を引き継ぎつつ、オーケストレーションの拡大、様式の複雑化により19世紀前半の前期ロマン派音楽を経ながら(シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ショパン等)、この時期後期ロマン派音楽の全盛を迎えます。

 ここに至るまで最も有名且つ重要なベートーヴェン弾きは、クララ・シューマンで、蒸気船や鉄道の発達に伴い演奏旅行が容易になる中、演奏会そのものが聴衆を惹きつける大きなブームとなっていった時期でもありました。この時期は楽器にも大きな改良/変化が訪れ、ヴァイオリン・ヴィオラの顎当て、バルブ式の金管楽器が標準的なものへとして定着していった時期でもあります。さらには1889年、ブラームスはエジソンの依頼により「ハンガリー舞曲第一番」を自ら演奏して録音しています。これは史上初のレコーディングとされています。

 後期ロマン派の正統的な継承者として支持されたブラームス。ロマンチックオペラかからヴェルディの影響を受けてイタリアオペラを発展させたプッチーニ。ドイツ様式、イタリア様式から離れて発展したロシア五人組と同様に、民族意識と直結した作曲様式を模索したシベリウス。


戦争への足音を感じながらも、発展を続けていたその当時の音楽界の盛隆を思い描きながら、この三人の作曲家に敬意を払いながら演奏したいものです。

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